五里霧中



案の定リンはすぐに不機嫌そうに頬を膨らます。


「もう、にぃになんて大っ嫌い!」


さっきの横顔が嘘のように幼稚な仕草。



本当に嫌いになってくれればいいんだけど。


だって僕は人に好かれていいような人間じゃない。


反倫理的で、嘘つきで、最低で。


純粋無垢なこの子たちを騙している悪者なんだから。



それなのにどうしてキミたちは僕を疑わないんだ。


どうして何も気付かないふりをするんだ。


カインのように殺意を表したらどうだ?


< 275 / 351 >

この作品をシェア

pagetop