五里霧中



なんて、うんたらかんたら。


偉そうなことを言っておきながら、目的はちゃんとあるんだけどね。



僕はあの日からずっと彼女のことを探している。


名前も顔も忘れてしまったけど、その暖かさだけは今でも覚えてる。


10年前に売られていった女の子。


大好きだった、女の子。



気だるい夏の日差しを浴びながら無心になって足を運ぶ。


逃げ出してすぐの頃は警戒して施設には近付かなかった。


いや、怖くて近付けなかったのかもしれない。


だけど最近はそんなこともなくなって、ある伝手を元に彼女を探すことができるようになった。



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