五里霧中
ていうか、こんな物の中で眠れることがおかしい。
「東さん、起きてください」
「うるせー……まだ夜明けだろ」
「太陽はもう巷を騒がせてますよ。想像以上に騒々しいですよ」
「想像以上に騒々しいのはお前だろ」
東はやっとのことで体を起こし、途端に僕の頭を引っ叩いた。
「うわー、暴力反対」
「先に喧嘩売ったのはてめぇだ」
寝起きですぐに煙草を吹かし出すヘビースモーカーを尻目に、僕は窓を全開にした。
換気を全くしていないのか、部屋の空気が酷く淀んでいる。