五里霧中
「またあの女のことか」
「あの女とは何ですか。僕の嫁ですよ」
「嫁ねぇ。家にも一人いるだろーが、問題少女が」
紫煙と共に吐き出された苦々しげな言葉に、僕も苦笑するしかない。
「あの子は僕の妹です。嫁とは関係ないでしょ」
「名前も覚えてないのに、嫁なのか」
「名前なんて関係ないんですよ、僕等の間には」
堂々と胸を張ってのろけてやった。
なんだか気分爽快とはかけ離れた気分だけど、東さんの顔面にパンチを食らわしたぐらいの快感は得られた。
多分。