五里霧中


「なあ、いつまで続ける気だ?」


ピタッと足が急停止する。


僕の意思に反して体が動かなくなることは少なくない。


「いつまで?そりゃあ、愛する嫁を見つけ出すまでですよ」


「その後は?どうやって生きていくんだ。まさか残された奴等を捨てて二人で逃げようってわけじゃねーよな」


その言葉にはどこか咎めるような刺々しさがあった。


融通が利かない子供を叱りつけるような、そんな感じ。



僕は体が動き出すのを待つついでに答える。


「まさか。僕まであの子たちを捨てたら、誰が面倒をみるんですか。僕はあいつ等のような大人にはなりません」


ていうか、大人にはなりません。




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