五里霧中



重圧に押しつぶされる前にお暇しようか。


僕は肩に伸しかかる重みを無視して足を踏み出す。



『お前だって子供じゃないんだ。そろそろちゃんと考えろ』



さっきの東のセリフが耳に突き刺さる。


頭の中で何度も再生される呪詛のような言葉を削除して、もう一度深く深呼吸した。


僕はまだ大人にならない。


いや、大人になんかなれない。


だって約束したから。


「僕たちは絶対にあんな大人にはならない」って。


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