五里霧中
雑木林の中にひっそりと佇むマイホームを発見。
家の前ではクロが難しそうな分厚い本を読んでいる。
「ただいま」
僕が手を振ると、クロは嬉しそうに頬を緩ませた。
「Ворот」
「何それ」
「ロシア語でおかえりという意味。ちなみに中国語では衣領というそうだ」
「へー、どんどん無駄な知識が詰め込まれてくね」
「無駄ではない。君のような莫迦にならないための勉学だ」
「バカを莫迦と言うところもクロらしいねー」
目を細めて頭を撫でると、クロは不機嫌そうに手で払って家の中に入ってしまった。
もしかしたらここで僕の帰りを待っていたのかもしれない。