My Little Girl(加筆修正中)
冬至が過ぎ少しずつ昼間が長くなっていくとはいえ、やはり日が沈むのは早い。
辺りがだんだん暗くなってきている。
「ね、奏ちゃん、お正月どうすんの?どっかに行くの?」
「正月か?いや、1日に爺ちゃん家に行ってそれからみんなで墓参り行くぐらいだけど」
「初詣は?」
「初詣?えっと、あ、墓参りの帰りに爺ちゃん家の近くの神社に行くな、そういや」
「そうなんだ」
ん?
何故か急にアズがしょぼんと。
「どうした?」
「あ、な、なんでもないよ」
なんでもないわけないだろ。
「アズ、言いたいことがあったらはっきり言ってみ」
「……」
「アズ」
俺のブルゾンの袖を掴み
「う、うん。奏ちゃんと初詣に行きたいなって思って。あ、で、でもいいよ。お爺ちゃん達と行って。やっぱり家族で」
「別に爺ちゃん達と行ってもアズとまた行けばいいだろ。2日に行くか?」
俯いていたアズが顔を上げ
「い、いいの?」
「当たり前だろ」
そんなことを悩むのか、こいつは!
「あ、ありがとう。めっちゃ嬉しい。だってお正月は奏ちゃんに会えないもん」
ん?
「会ってなかったっけ?」
「うん。1日から3日4日までは親戚と過ごしたりお墓参りに行ったりしてるから奏ちゃんに会うのは5日くらいだよ」
そうだっけ。
いや、だけど
「お前、親戚と過ごすなら」
「大丈夫だよ。奏ちゃんと初詣に行くって言えば」
ひしっと俺の腕を抱き込み、すがるような目で俺を見上げる。
無意識だろうが、これは狡いだろう。
「分かった。じゃあ2日に初詣に行こう」
「うん、ありがとう。わぁ~嬉しい」
初詣一つでこんなに喜ぶなら俺から誘えばよかった。
てか、初詣なんて頭になかったもんな。