My Little Girl(加筆修正中)
「で、お願いって」
「あ、はい。四月に京都へ行きたいと思ってるんですが」
「京都?…泊まりがけか?」
「いや、夜行バスで行って一日遊んでまた夜行で帰って来ます」
おじさんが呆れたような顔をして
「強行スケジュールだな」
「……」
「フフフ…」
へっ?
お、おばさん…何が可笑しいんだ。
「奏ちゃん、それ、亜澄が云い出したんでしょう?」
「!……」
アズも驚いたような顔でおばさんを見てる。
「お前は知ってたのか?」
「いえ、違うのよ。…亜澄」
「はい」
「内緒で計画するんならスケジュール表と観光ガイドブックを机の上に置いとかないで片付けときなさい」
「あっ、出しっぱだった」
…やっぱアズは脇が甘い。
「ハハハ…亜澄が行きたがったのか?」
「うんとね、ほら、ホワイトデーとこの間の試験でベスト20に入れたら、奏ちゃんが何でも云う事聞いてやるって約束してくれたから…」
「だから京都か?」
「うん…」
アズが俯いてしまった。
「おじさん、駄目ですか?ちょっときついスケジュールですが、無理させないようにします」
「奏君は…いいのか?」
「はい」
「まぁ、京都で泊まるよりはいいか、な?」
「あら、別に泊まりがけでもいいわよ」
…お、おばさん?
俺も驚いたが、おじさんもアズもビックリしたようにおばさんを見る。
「二人泊まっても間違いはないでしょう?」
「……」
「そ、そりゃ大丈夫だろうけど…奏君が…可哀相だ」
お、おじさん。おじさんの心配はアズじゃなく…俺?
「それもそうね…じゃあやっぱり夜行バスで行った方が奏ちゃんの為ね」
おばさんにニコッと笑われて…俺、何か居心地悪い。