スノードロップ

　ふと,思った｡
幸基が帰ってきたら,謝ろう｡
意味わかんない行動してごめんねって｡

幸基はきっと,いつものように笑って「ばーか」って言うだろう｡

そしてあたしに,板チョコを差し出すだろう｡

今まで,あたしは幸基と数えきれないくらいたくさんケンカをしてきたけど,その度にちゃんと仲直りもしてきた｡

仲直りの印は,幸基があたしに渡す板チョコ｡

ケンカのあとは,たとえ悪いのが明らかにあたしでも,幸基はいつも板チョコを買ってきた｡

「詫び」って言って照れくさそうにはにかみながら,とびきり甘いハイミルクチョコをあたしに渡す｡

あたしにとって,そのチョコは特別で―

実際の倍は,甘く感じられた｡

チョコの味を思い出しながら,あたしは改めて決意する｡

謝ろう｡
幸基に,ちゃんと謝ろう｡