スノードロップ
 あたしがそう思うと同時に,お母さんが叫んだ。

「そんな…!」

ただならぬその様子に,はっと顔を上げた。
お母さんが,手からすべり落ちかけた受話器を持ち直す。

そしてあたしは気がついた。
お母さんの背中が,小刻みに震えていることに。

何?どうしたの!?

さっきの感覚が蘇ってきて,心臓が跳ね上がる。

意味もなくのどが渇き,両手が震え始めた。

何があったの―!?

お母さんが,また口を開いた。
抑揚のない声でその口は言う―






「幸基くんが…死んだなんて」
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