魔王様の好きな人





「……ラディン様…」




「…なんだ」




「…ラディン様……」




「…だからなんだと言っている。お前は耳が聞こえないのか?…」




「………聞こえています。あなた様の声が小さいのです。」




「…フン…生意気な……用はなんだ。お前と違って俺は忙しいんだ。」




「…………忙しいようには見えませんが…」




「……なんかいったか?」




「……いえ。」





この部屋にいるのは先ほどの女と女のような男。




名はラディン。




魔方陣を得意とする魔術師だ。少し荒い印象をうけるがそれはこの女の前だけだ。




そしてこの女もラディンの前だけで毒を吐く。





この二人は表は好印象だが裏では性格が悪い。
それは二人しか知らない秘密だった。





「……で、おまえが俺を様付けするのには理由があるのだろう…………俺は鳥肌がたった…」



「…まぁまぁ…失礼ですね、いつも様付けしておるのですが…」





「…お前は買いたいものや欲しいものがあるときだけ俺にねだるだろう?…後は………」





「…ラディン“様”に女共が張りついた、もしくは見たときですか?……」




「…その通りだ……」



「そうですね。あなた様も私を名前で呼ぶときは男の人が居るときですかね?」
「…」



「…まぁ……黙りを決め込むなら結構ですが…テァが自分の血で魔方陣を描いたようす……あの若君の女を助けるためのようです…」





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