キミがいる
時間はどんどん過ぎて行き、気付けばもうお昼休み。
「椎奈!ご飯食~べよ♪」
いつものように真梨香が駆け寄ってくる。
「食欲ない。」
「んなこといってないで!さぁ食べる!胃に無理やりでも入れるのよ~☆」
いつもの風景。いつもの雰囲気。いつもの空間。
そこに割り込む黄色い声。
「「「峰岸く~ん♪♪一緒に食べよ~~♪♪♪」」」
お疲れ様、転校生。
黄色い声など聞こえないと言った素振りで私は真梨香と机を移動させる。
「いいの?転校生助けなくて。幼馴染なんでしょ?かなり迷惑そうな顔してるけど」
「まぁ…ね」
あの黄色い声の集団に入るのは、まっぴらごめん!
私は中3になってから、大人しくて物静かで、特にコレといって趣味とかなくて…どちらかといえば、女子らしくない女子を追求してきたのだ。
今さらかえられるか…とゆか変えたくない
「女子らしくないままのが椎奈はいいのかもしれないけど、とられちゃうよ?転校生。」
真梨香は心配する。でも私は、
「いいよ。私のものじゃないんだし。」
無関心を装う。
「本当は話したいくせに…」
「………。」
「ほら、図星」
クスッと真梨香が笑う。
この子にはいつもお見通しだ。

本当は私だって聞きたいこと沢山ある。
事故にあったと峰岸くんのお母さんに聞かされて、それから連絡が取れなくなった。
死んでしまったのかなと最悪の事態も予想していた。
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