ありがとうさえ、下手だった
――ドスッ
初めて人を殺したのは7歳の時。
使った武器は包丁だった。
殺した相手は、血を分けた実の親。
どうにも単調な瞬間だった。
こうなることは、頭のどこかでわかっていたように思う。
特に問題のある両親ではなかったが、彼らが死んで哀しいと思わなかったのも事実だ。
ああ、死んだのか。
そう思っただけだった。
7歳の少年が殺人犯に疑われるはずもなく、事件は犯人である俺を差し置いて夫婦の無理心中と片づけられた。
それこそ無理やりだった気がする。
俺は遠い親戚の家に引き取られることになり、入学したばかりの小学校も転校することになった。
その際俺は、床に血痕がこびりついた我が家から数本のナイフを持ち出す。
包丁はかさばるので面倒だった。
服の下に隠したナイフが俺にささやく。
血が欲しいのだ、と。