ありがとうさえ、下手だった
そして、あいつは死んだ。
正確に言えば殺された、俺に。
そうして俺の友達は、欠員を埋めるために無事スタメン入りを果たした。
彼の顔はとても浮かない。
…かと思えば。
「…やった、やった!スタメンになれた!」
とてもうれしそうだった。
部員が1人殺されたところで、その喜びは消し去れないようだった。
「普段から不真面目だから、そんなことになるんだ。だから、俺が殺してやったんだ。
…なぁ、そうだろ?」
同意を求めて俺に向けられた視線。
彼は道を踏み外してしまった。
俺が踏み外させた。
決して越えてはいけない、境界線だった。
「そう…だな」
それで、終わってくれたらよかったのに。
「実は、まだ死んでほしい人がいるんだ。
何人も、何人も」