ありがとうさえ、下手だった
依頼なんて断ればよかったと、そう言う奴もいるのだろう。
しかし、恋より愛より振り切ることが難しい友情を断ち切ることこそが、俺をこの世界の頂点まで押し上げた。
俺は今もトップに君臨し続けている。
だが一方で、孤独だった。
誰も触れてこない。
近寄ろうともしない。
友人を殺してまで得たこの地位に、果たして意味があるのか。
今まで殺した奴の顔は、1人残らず覚えている。
忘れないさ。
そうすることが、苦しみを独りで背負うことが俺なりの償い方だ。
「刹那さん…」
その傷に、触れてくる奴がまだいるなんて思わなかった。
一度突き放せばそれで終わりだと思っていた。
だけどお前は、お前だけは。
「…泣いてるの?」
来て、くれたんだな。
俺のもとへ。