期間限定恋愛



「ほれ。」

そう言って差し出された保冷剤。

「弁当入ってたから。」

聡は私に保冷剤を掴ませてクルリと向きを変えて歩き出す。


「…なによ……」

男子の輪に入って楽しそうに笑う聡。


これだから、嫌いになれないんだよ…

…ばか。



佐々木聡と私、織田茉莉香は小学校からの腐れ縁。

初めて喋ったのは小学校4年のとき。


『お前の名前変だよな?』

って、聡の言葉。
今でも鮮明に覚えている。


私は、『茉莉香』って名前を気に入ってたから
侮辱されて、幼いながらにスゴくショックを受けた。


『変な名前じゃないもん。』

涙目になりながら発した小さな声。

それを、聡は簡単に

『変だよ。』

って、笑いながら言ったんだ。



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