夢見屋
「ははっ!良ちゃんのバーカ」
「司テメッ、黙れっ!!」
司とじゃれながら、俺は誰にも聞こえないくらい。
本当に小さく、
「あんがと」って呟いた。
なのに、絶対に聞こえてない筈なのに、
司は何故か容易く俺の気持ちを読み取ってしまうんだ。
「素直じゃないんだからー」
「………うるせ」
顔がちょっとだけ、赤くなってる気がする。
「もー!良ちゃんてば、かーわいー」
「あの世に行きたいみたいだな」
「わっ!良汰様っ、落ち着いてください!!」
「危ないなのですー!」
ドタバタと、夢見屋の中で走り回る俺たち。
それはまるで子どもの様で。
楽しくて、楽しくて。
儚い、時間だった。