夢見屋
よく見ると煙の中に誰かいる。
黒いシルクハットにピエロのような奇抜なファッション。
まるで死神のような大鎌を手にしたそいつは、俺らのことを一瞥するとニヤリと笑った。
え、誰?
「ふははははは!」
「……えーと?」
突然高笑いしたかと思うとこちらに近付いてきた。
そいつは何もかもが突然すぎて、そして脳が伝えるんだ。
───そいつは厄介だって。
「久しぶりだなぁ、アラン!」
「真夢(マム)……どうしてお前は普通に登場できないんですか」
「ふふんっ。この収まりきらないオーラでは普通など無理に決まってる!」
……なんだこいつ。格好が変なら中身も変。
「よぉ、リアル。お前も相変わらず可愛いなっ」
「ありがとうです」
どうやらアランとリアルは知り合いらしい。
でも待とうか。俺はそいつを知らない。
そして何故だれも突っ込まないんだ!
その、存在を主張し過ぎている大きな危険物に!