俺が堕ちた……相手は王子?
「またデートか?」
玄関口で呆れたように王子に声をかけられる。
毎日見られているだけに苦笑いしか出来へんわ。
「つーか、透は何でいっつもここにおるん?」
「俺?先輩から逃げてるだけ……ゆっくり飯も食われへんわ」
そういや、モテモテやもんな?
綺麗な顔やったら人生得なんかと思ったらそうでもないんやな。
じゃ、と手を振って亜美の方へ向かおうとした俺の背中へ透の声がした。
「まぁ……困った事があったら言いや?交換条件付きでなんとかしたるわ」
「はぁ?なんやねん?それ」
この時の俺は透の観察眼なんて知らんかったし、ただ変な奴……そう思っとった。