月に秘めた恋
「・・・怖い」


「俺が・・・付いてるから」


そう言って 未憂の手を引いて


ドアを開いた


ここは 俺が産まれた病院でもある


靴を脱いでスリッパを履く


受付で保険証を見せた未憂は


落ち着かない顔をしていた


まぁ・・・誰だって落ち着かないよな?


「では お呼びしますので


おかけになってお待ち下さい」


受付の看護婦がニコッと笑って言った


「・・・はい」


俺と未憂は 近くのソファーに座る


周りには 妊婦が何人か居た


「あの子達・・・高校生でしょ?」


「あの男の子が父親かしら?」


「最近の若い子って すぐ子供


作っちゃうから・・・」


なんて声が聞こえて来る


未憂を見ると 俯いていた


こいつだって・・・好きでここに


居る訳じゃない


お前等に何がわかるんだよ?


そう思った


「羽山さん 羽山未憂さん?


どうぞ?」


「・・・」
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