月に秘めた恋
・・・放課後


私は鞄を持って教室を出た


「羽山さん」


「・・・永見君」


前には永見君が立っていた


「今帰り? 俺と帰ろうよ?」


「・・・湊君と約束してるから」


そう言いながら 俯く


やっぱり・・・苦手だな


「あいつのどこがいいの?


噂で聞いたんだけど・・・


羽山さんってさ 李生の子供妊娠して


流産したんだって?」


なんで・・・知ってるの?


「及川から聞いたんだよ


あいつさ 君の事好きでもなんでも


ないって言ってたよ?」


永見君は そう言いながら


私に近付いた


ウソ・・・


そんな事ない


湊君がそんな事言うはずない


そう言いたいのに 言えない


「・・・」


「恨むなら あいつを恨みなよ?」


「未憂!」


振り返ると 湊君が立っていた


湊君は 早歩きで私の所にやって来た
< 296 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop