約束

彩はまたニコッと笑った。
ホント良く笑ってくれるな。
「あのね、」
そんな彩の口から出た言葉は思いもよらない言葉だった。
「私の事、忘れて――――？」
彩を・・・
忘 れ る ？
そんな事できるハズがない。
彩を忘れる事なんてできない―・・・。
俺は 彩に問いかけた。
どうして 忘れなければいけないのか、と。
すると彩は あの時の笑顔のまま微笑んで俺に説明してくれた。
「私ねもう死んでるんだよ？」
「分かってる！」
「分かってるなら―・・・」
「亜希が好きだから。」
彩は俺を好きだと言う。
でも忘れてと言う。
どうしろって言うんだ！！
「じゃぁ俺も死―・・・・」
「ダメ！！亜希は・・・生きてくれないとヤだ。」
彩・・・俺にどうしろと・・・？
途方に暮れていると彩が口を開いた。
「亜希はまた好きな人作って幸せになって？」
「そんなッ―――」
「それが私の幸せだから。」
「―――ッ」
そんな事言われると何も言い返せなくなる。
「だから・・・バイバイ。」
「は？・・・どこ行くんだよ？」
「え成仏するんだよ？」
彩は当然のように言う。
そんな急に言われても 今やっと話せたのに―――・・・！！
彩は俺の頭をよしよしとなでる。
「大丈夫。亜希には――がいるから。」
急に彩が崩れ落ちる。
「な！？」
俺はそれを慌てて受け止める。
懐かしい感じがしない。
きっと 彩はもう行ったんだ。
涙が頬をつたい 美嘉の頬に落ちる。
でも 最後に彩が言った言葉。
誰の事だろう？
『亜希には――がいるから』
一体誰を・・・
「う・・・ん」
美嘉が少し身じろいだ。
俺は美嘉に声をかけると 美嘉は「彩は？」とキョロキョロ探していた。
「成仏したよ。」
「亜希はそれで良かったのか？」
美嘉は俺を心配そうに見る。
「・・・うん。彩が決めた事だから。」
「そうか。」
ふと美嘉を見るとその横顔が凄い綺麗でドキッとしただなんて 美嘉には言わない。
彩が言ってたのってもしかして―・・・？
「じゃ、これからもよろしく！亜希！」
「へ？」
「これからも友達だよな？」
「・・・あぁ・・・。」
まさか・・・、な。