わがまま×優しさ
部活が終わると、帰宅の準備を始める。
マネージャーたちは顧問に部費の集計を頼まれていた。
紗希は顧問から名簿をもらうと、その名簿に目を通していた。
もう暗くなった部室の前を、一年マネージャーが2人待っていた。
今日の担当は紗希と前原秋という子だった。
秋は先輩たちに声をかけられない性格だ。
それを知って、紗希が声をかけ始める。
まず二年生が、そして旭率いる三年生が部室から出てくる。
「部費の集計です。今日出してもらえると助かります。」
紗希は笑顔で言う。
「ありがとう。」「偉いね。」とか言いながら二年生は4人ほど部費を出して帰って行った。
「お疲れ様でした。」と一言言って、名簿にチェックを入れる。
「高岡紗希ちゃんだっけ?」
紗希の後ろから旭が声をかける。
「覚えてくれたんですか?」
紗希が目を丸くして驚いた。
「良かったらメアド教えてくれん?前原さんも。」
先輩と仲良くなれそうだ、と紗希は少し安心する。
秋もあわてて携帯を取り出す。
赤外線で旭に送ると、「夜メールするわ。」とニッと笑った。
「今日はお疲れ。」
そう言って三年生は部費を1人も払わず帰って行った。
紗希は「お疲れ様でした。」と頭をさげると、その後ろを片付けを終えた一年生が部室に入っていく。
一年生からの部費の集計も6人程終えて、紗希と秋は一緒に帰って行った。
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