our kind of love

「…白井?」


何も言わず、強く抱き締めてくる彼女の背中に手を伸ばす。

いつもは胸の辺りにある彼女の頭が、塀の上に立っているせいで、ちょうど俺の頭の少し上にあった。


そのままの姿勢で、彼女の髪についた雪を払う。そしてそのまま、抱き締めたまま髪を撫でた。


辺りには人影もなく、車も通らなかった。

そんな中で抱き締め合っていると、雪の中に二人で閉じ込められたような錯覚に陥る。


腕の中の彼女のいつもより少しだけ低い体温だけが、現実味を持っていた。



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