our kind of love
いつだって、彼女は泣かなかった。
一度、一年生の時に体育の時間に指を骨折したときも。
卒業式で誰もが泣いていたときも。
あの日だって、本当は何かあって、泣きたかったに違いない。
でも彼女は、いつだって泣きそうな顔はしても、泣かなかった。
密かに俺は彼女のそういうところが彼女の学生時代から好きだったが、同時に心配もしていた。
今俺に抱かれながら泣く彼女を見て、俺は嬉しかった。
彼女の涙が、シャツの肩を少しずつ濡らしていく。