月夜に舞う桜華
それは、司達も同じだったようで、朔夜の姿を認めるなり眉を寄せ、司以外があたしを朔夜から隠すように立ちはだかった。
更に、朔夜の眉間に皺が寄る。
「雅龍総長が椿に何か?」
「あ?なんだてめえ等」
「俺達は椿の守人だ」
あたしの背後でそんな会話が繰り広げられているなか、司はほのぼのと話し掛けてくる。
「昨日は、急に消えたから探したぞ」
「………そう」
「帰りも見つからなかったし……相変わらずだな」
クスリと笑いながら司は怒っている様子はない、むしろ楽しそうだ。
それが不思議でならない。
「………何が楽しいの」
「ん?別に?………ただ」
一度、言葉を切る。
「昨日のような事にはもうさせないからな」
満面の笑みが、怖かった。