月夜に舞う桜華



手紙を返し、朔夜はまたため息を一つ。


「それ………彰真の字だ」

「………は?」


彰真?あの赤髪君?


「………なんで」

「相当悔しかったんだろ」


あいつ、負けず嫌いだし。


(えー……めんどくさい)


あたしは、もう一度手紙に目を通してからため息をついた。
なるほど、彰真であれば、中身の理由も説明がつく。


「………」


でも、はっきり言って面倒この上もない。果たし状、と事はまた彰真とヤらなきゃいけないわけで。


「………見なかったことにしようか」

「…………五月蝿くなるぞ」

「……」

「とりあえず、屋上には行け」


朔夜に言われて、あたしは、再びため息をついた。


「―――椿!」


名前を呼ばれて顔をあげれば、司達が満面の笑みで走ってくる。


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