月夜に舞う桜華
「そうだ!!」
胸を反らしながら即答する彰真には、たぢただ喧嘩に対する純粋さしか感じることができない。
珍しい人間だな、と思った。
あたしは小さく笑う。彰真は、笑うあたしに頬を膨らませる。
「んだよ」
「んーごめん、ごめん。何か珍しくて」
「は?」
「いーよ」
「?」
クスクス笑いながら返すあたしに彰真はますます不機嫌になっていく。
久しぶりに、楽しい喧嘩ができそうな、そんな気がする。
「いーよ。喧嘩してあげる」
「マジか?!」
「ただの喧嘩だし」
売られた喧嘩は買わなきゃ。
「やった!!」
拳を握りしめながら飛びはね、彰真は本当に嬉しそうだ。
(なんだか、幼稚園児みたい)
彰真を見ながら、あたしはまた笑った。