月夜に舞う桜華



茶髪は警戒心剥き出しにしながらあたしの様子を窺っている。


たかが女一人にそこまで警戒しなくても…………


「ねー君、ここがどこか分かってる?」

「?」


横から声が飛んできて目をやると、金髪が後頭部で手を組みながら興味津々に聞いてくる。


ここ?………て、


「屋上でしょ」


何当たり前のことを聞いているのか。
呆れた目で金髪を見ると、金髪は大きな目を更に大きくした。


「それ、まぢで言ってる……?」

「は?」

「ここ、雅龍の溜まり場だよ?」

「………ガリュウ?」


なんだそれ。


「え、雅龍知らないんですか?」

「さっぱり………」


首を傾け、ガリュウを記憶の中から探すけどガリュウのガの字すら見つからない。


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