月夜に舞う桜華
「俺が、いるって……」
「ちゃんと止めるさ」
いざとなったらな、と答える俺に、晶は呆れたように息を吐く。
「全く………それなら、早く言ってよ」
「?何を」
「色々だよ……椿ちゃんに言い寄るのも」
「あぁ、………あれは本気」
「は?」
「俺は椿に心底惚れてる」
バサッと何かが落ちる音がして目を向けると、晶は持っていた紙を床にばら蒔いていた。
「ま……じ?」
「遊びならあんな面倒な女選ばねえよ」
ま、遊びなんてしないけど、と付け加えると晶は屈んで紙を集める。
「時々、思うんだけど」
「何だよ」
「朔夜ってさ、総長だけど、総長の頭してないよね」
「は?」
首を傾けると晶は、何でもないと笑って返した。