月夜に舞う桜華
(………ただの、喧嘩バカじゃないってわけ……)
少し彰真を見くびっていたようだ。
「………」
「次、いくぜ」
その声と共に彰真が向かってくる。
拳を振り上げ、今度は顔ではなく腹を狙っている。
それを紙一重で避けて、逆に横っ腹に蹴りを入れる。
しかし、予想していたのか避けられてしまった。
ニヤリと余裕な笑みを浮かべる彰真にあたしは彰真の一連の動作の分析をする。
明らかに前と違う。
(あー……苦手なタイプ)
小さく、ため息をついた。
「ため息ついてどうしたんだ?」
「………別に」
「一撃で決められず、避けられた。ま、いい気はしないよなぁ」
「…………」
余裕な顔に少し苛っとした。
今度は、あたしから仕掛けてみた。
今の彰真には、隙が沢山ある。
顔に拳を入れて、ハッとそれを避けた瞬間、回し蹴りを食らわせる。