月夜に舞う桜華
今度は、避けきれなかった彰真は見事吹っ飛んだ。
「っぐは、」
「…………油断大敵」
クスリと小さく笑う。
調子に乗るからそうなるのよ。
一度や二度避けたくらいでいい気にならないでほしい。
「っ今のは中々きいたわ……」
よっと彰真は起き上がると、そのまま向かってくる。
拳を振り上げ、狙うは顔。
「お前、なんで総長、やめたんだよ」
「………関係ない」
「喧嘩、やりたくない訳じゃねぇだろ?」
連続で飛んでくる拳にあたしは避けながら反撃の隙を伺う。
「やりたい訳でもない」
皇蘭は、あたしにとって最高の居場所だった。もはや家だったと言ってもいいのかもしれない。それほどにあたしにとっては大きなところだったのだ。