月夜に舞う桜華



「………そうかも、ね」

「――――お前さ、」


シュッと飛んできた彰真の拳を紙一重で避けると、いったん距離をとった。


真っ直ぐな瞳があたしに突き刺さる。


「後悔、してるだろ」


疑問ではなく確信を持った声だ。
あたしはピクリと後悔ということばに反応する。


「後悔、だと?」

「今の総長に継がせた事、もしくは皇蘭を創ったこと―――」


自分が総長として過ごしてきた日々の事。


――――何も知らない奴がペラペラと。


あたしの中で何かがプツンと切れた。


お前は、あたしの何を知っているんだ?
後悔?何故後悔しなければならないんだ。後悔してるならとっくにこの世界からいなくなっている。


あー、何だか苛ついてきたな………。
楽しい喧嘩を待っていたのに――……。


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