月夜に舞う桜華
その瞳には、殺気。
そしてその中に、哀しみの色が見えた。
「…………お前に、何がわかる」
弱々しい声。
「何があったか知らないくせに、見ていないくせに!」
腕を、振り上げる。
彰真は、立ち上がれるような力はもう残っていない。
「知ったような口をきくな!!!」
「っ」
怒号と共に椿の拳が彰真に向かって振り下ろされる。
それを俺は、手首を掴んで阻止した。
「―――椿」
「離せ!あたしは!あたしは!」
俺の手を振り払おうともがく椿を押さえつけるように俺は椿を抱き込んだ。
「落ち着け」
自分の中で一番優しく話し掛ける。
それでも暴れ続けていた椿だったが、突然ガクンと崩れた。
「離せ!離し……」