月夜に舞う桜華
フッと腕が重くなる。
椿を支えながら顔を覗き込めば、糸が切れたかのように椿は気を失っていた。
俺は、力なく腕の中にいる椿をきつく抱き締めた。
「…………っ」
小さく呻き声がしたかと思うと、倒れていた彰真が目を覚ます。
「……い、て…」
頭を押さえながら彰真は起き上がる。
「大丈夫か」
声をかければ彰真は顔をあげ、目を見開く。
「総長、来てたのか」
「あぁ」
彰真は、俺の腕の中にいる椿に眉を寄せる。俺は小さくため息を1つ。
「お前、またやったろ」
「………」
「あれほどやるなと言ったろうが」
それでその様なんてバカも甚だしい。
彰真は、罰の悪そうな顔をすると首を擦る。
「まさか、ここまでキレるなんて思ってなかった」
「だろうな」
俺ではない第三者が同意する。