月夜に舞う桜華
目が醒めたら知らない場所だった。
真っ白い世界。
鼻につく薬品の臭い、腕に繋がれた管。
あたしは、生きてると思ったと同時に死んだんだと思った。
皇蘭にいたあたし――桜姫は死んだ。あたしは居場所を無くした。
あたしは、また、一人になったんだ、と。
「居場所を無くしたあたしは、ひっそりと過ごしていたかった。」
その方が、あたしは、あたしでいられたから。
「皇蘭なんて―――聞きたくなかった」
膝を抱え直して、あたしは膝頭に額を押し付けた。
そうでもしないと、涙が溢れそうだったから。
あたしは、居場所が欲しかっただけだったのに、周りは違う。
あたしは、どうしたらいい?
もう、分かんなくなった。
「―――俺が、」
フワッと温かいものに包まれた。