月夜に舞う桜華
「お前、今日一日動くの禁止な」
まぁ動けないだろうけど。
自分でも分からなかったのに、あたしよりも先に気づいて朔夜は看病してくれていた。
朔夜の優しさが全身に染み渡っていく。
「どうした?」
じっと見つめられていたのが気になったのだろう、朔夜は首を傾ける。
それに何でもないと返して、あたしはありがとう、と伝えた。
「その言葉は治ってからだ」
フッと笑みを浮かべると朔夜は立ち上がる。
「朔夜……?」
「起きたなら、飯食べるだろ」
お粥つくってっから、持ってくると背中を向けた朔夜にあたしはどうしようもなく不安に狩られる。
「椿……?」
無意識のうちにあたしは朔夜の服をつかんでいた。
不思議そうに見下ろされ慌てて手を離した。