月夜に舞う桜華
自分で自分の行動が理解できていなかった。
「椿?」
「な、なんでもない」
動揺しないように布団の中から出ていた腕を引っ込める。
そんな様子に朔夜は小さく笑う。
「すぐ戻ってくる」
一度膝を折ってあたしの頬に唇を寄せる。
「!」
目を見開くあたしに朔夜は優しく頭を撫でると、部屋を出ていく。
しんっとした一人になった部屋であたしは毛布を目の下まで引っ張って顔を隠す。
(な、なんであんなことしちゃったんだろ………!!)
先程の自分の行動に更に熱が上がっているような気がするのは気のせいだろうか。
(………さ、寂しいって……っ)
なんでそんなこと思ったんだろう。
今まで感じたことのない感情にあたしは戸惑う。