月夜に舞う桜華



(………ん?)


ふと目に入ったのはボロボロの机や椅子の積まれた場所。
確か、ここは図書館だったはず。


「誰もいなさそう」


机や椅子で通せんぼされてるし。
あたしはそれに近づいて自分が通れるくらいに退ける。
すると、ドアノブが見えてきてゆっくり捻って回せばドアは、内側に開いた。


(押し式じゃん)


やったっと中に足を踏み入れれば、綺麗な図書館が姿を現した。
誰も使っていないからか埃だらけだが、意外に沢山の蔵書が揃っているようだ。


「やば……ここ穴場になるじゃん」


ふふっと小さく笑って取りあえず窓を開けて換気をする。
空気の入れ換えもして、ついでに掃除でもしようかな。


これからあたしの場所になるんだし。


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