月夜に舞う桜華
悶々と考えているとバイクが右折する。
(とりあえず、倉庫に戻らなきゃ)
話はそれからだ。
しかし、その前に雷心に止まってもらわなければならない。
雷心も意味なく走っているわけでもなく、目的地があるみたいだ。そこに着いてからでも遅くはないと思う。
どれほどバイクを走らせたか。
見たことのない景色が広がる。
海辺の広く廃れた場所。前にはどこまでも続く海でその近くにはいくつもの使われていない倉庫が並んでいる。
そこに、バイクは止まった。
「着きました」
「ここ?」
「はい」
ヘルメットを脱いで雷心に返す。バイクから降りてあたしは周りを見渡す。
こんなとこにあたしを連れてきたかったの?
「此方です」
ニコッと笑みを浮かべながら雷心が促す。