月夜に舞う桜華



「さて……と」


雷心と話をしていた和がゆっくりと此方を向く。
一年半なんて短いようで長くて、あの頃より顔つきは大人に近づいている。


「また……逢えて嬉しいよ」


(嘘つけ………)


目には殺意が纏う気には憎しみが混じっているじゃないか。


「………あたしが、生きてたのは意外、か?」


ニヤリと笑って見せれば、和は一瞬目を見開く。すぐに笑みを返し、腰に手をやる。


「全くだ………殺したつもりだったんだけど」

「残念だったな」


あたしは生きてるよ、とその証拠に服の上が傷を押さえる。


「心臓だったら即死だったかもな」

「………」

「つめが甘いんだよ」


挑発するような言葉。
本当はそんなことしたらヤバイなんて百も承知である。


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