月夜に舞う桜華



でも、そう言わずにはいられない。


「そうだな……」

「生きててショックだったかもな」

「まあな」

「次は、ここを狙え」


トントンと心臓のある場所を指差す。


ピクリと和の眉が動く。


「また、殺させてくれるのか?」


スッと和の目が細くなる。


あたしは、ニヤリと笑う。


「殺せるものならな」


あの時、桜姫はすぐに諦めた。
大事な仲間に裏切られたから、絶望していた。
でも、今は違う。
桜姫は死んだ。
ここにいるのは、ただの椿だ。


椿は、すぐには死なない。


「なら………話は早い」


ニヤリと悪魔のような笑みを浮かべながら和は、制服のポケットから折り畳み式ナイフを取り出す。


「また、死んでくれ……桜姫」


< 195 / 310 >

この作品をシェア

pagetop