月夜に舞う桜華
焦る雑魚に疑念は深まるばかりだ。
「おい、おかしいぞ」
敵を殴りながら俺の側で司が声をあげる。おかしいのは分かっている。
「椿、まさかここにいない?」
「っ」
俺は、グッと足に力を入れ、向かってくる雑魚を昌達に任せ、奥の方に走り込む。大分人数は少なくなってきているから容易い。
「椿!!」
奥の奥の部屋にドアを壊さんばかりの勢いで乗り込む。
しかし、目の前に広がる光景に言葉をなくす。
「………誰も、いない……?」
部屋中を見渡しても人っ子一人いない。
別の部屋に繋がりそうな部屋もない。
「くそっ」
ガンッと近くにあったソファーを蹴る。ふと、近くに置いてあったテーブルに目をやると、紙切れのようなものが見えた。