月夜に舞う桜華
″ざまあみろ″
たった五文字の殴り書き。
それだけで、俺達は嵌められたのだと悟る。
(仲間を、捨て駒か……!)
沸き上がる怒りを抑えることなく俺は紙を握りつぶす。
椿はいない。
ならばここに用はないんだ。
「ッチ」
握りつぶした紙を地面に叩きつけ、俺は荒々しく部屋を出る。
見ると、ほとんどが雅龍の連中で、闘っている皇蘭の奴等も数えるほどだ。
後数分でここは鎮圧出来るだろう。
「朔夜っ」
タタタッと駆け足に昌が駆け寄ってくる。
「椿さんは」
「いない。俺達は嵌められた」
嵌める予定が逆に嵌められたのだ。
流石椿を裏切った奴なだけはある。
「昌、俺は椿を探す。ここは頼んだ」
「分かった」
「皇蘭は終りだ」
総長に捨てられたのだから。