月夜に舞う桜華



″ざまあみろ″


たった五文字の殴り書き。
それだけで、俺達は嵌められたのだと悟る。


(仲間を、捨て駒か……!)


沸き上がる怒りを抑えることなく俺は紙を握りつぶす。


椿はいない。
ならばここに用はないんだ。


「ッチ」


握りつぶした紙を地面に叩きつけ、俺は荒々しく部屋を出る。


見ると、ほとんどが雅龍の連中で、闘っている皇蘭の奴等も数えるほどだ。
後数分でここは鎮圧出来るだろう。


「朔夜っ」


タタタッと駆け足に昌が駆け寄ってくる。


「椿さんは」

「いない。俺達は嵌められた」


嵌める予定が逆に嵌められたのだ。
流石椿を裏切った奴なだけはある。


「昌、俺は椿を探す。ここは頼んだ」

「分かった」

「皇蘭は終りだ」


総長に捨てられたのだから。


< 198 / 310 >

この作品をシェア

pagetop