月夜に舞う桜華
男という生き物は、貪欲で愚かだと思う。最初抱いていたものがだんだんと欲深いものに変わっていくのだから。
「最初はただ、桜姫に勝ちたい………そう思っていた」
桜姫にどうしたら勝てるか考え、考え………気がついたら毎日桜姫の事ばかり考えて。
「何時からか、桜姫に勝って桜姫を護る存在になりたいって思うようになった」
それは、仲間に対する想いではない。
明らかに異性に向ける感情。
あたしは、ハッとした。
皇蘭を創って始まって暫く経ってから和の態度が若干変わってきた時期があった。
それに、気づいて気づかぬ振りをしたのは紛れもなくあたしだ。
「だから、俺は頑張ったさ」
毎回、毎回桜姫に挑んでも後一歩で負けて。それに反比例するように膨らんでいく想い。