月夜に舞う桜華



フッと首を締め付けていた腕が消える。それと同時にグイッと引っ張られた。


「っおいっ!!」

「………」


動くまいと足を踏ん張るが、力の差か、ズルズル引きづられる形になる。
手錠が肌に食い込んで痛みが生じる。


叫ぼうが喚こうが止まらない和に蹴りを入れてやろうと片足を引こうとしたその刹那、ガッシャンと派手に何かが突っ込んでくる音が響いた。
鼓膜を破りそうな位に大きな爆音。


肩越しに振り返ったあたしは、入ってきたそれに目を見開く。


「椿!!」

「さく、や……!?」


ピタリと和の足が止まった。


バイクで突っ込んで来た朔夜は、バイクから飛び降りるとヘルメットを取り片手に持ち振りかぶる。


その動作にあたしは更に目を見開いた。


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