月夜に舞う桜華



「ちょ、」

「椿から離れろ!」


怒号と共にヘルメットが此方に向かって勢いよく飛んでくる。
狙いは和だと思うけれどその前にあたしがいるんですけど?!


慌ててしゃがんでヘルメット回避。その一秒後にガァンと衝撃音。


「………え」


恐る恐る振り返れば和の後頭部にヘルメット直撃。
うわぁ……痛そう、と思っていると唸り声が聞こえる。


「ってぇ………」

「椿!早くこっちこい!」


叫ぶ朔夜に、あたしは手錠に繋がれた腕を見せる。


「無理」

「あぁ!?」

「手錠どうにかして」


これ外さないと動けないです。
朔夜と会えた喜びよりとりあえず、手錠を何とかしてほしいと言う気持ちで一杯だ。


感動の再会とか柄じゃない。


< 216 / 310 >

この作品をシェア

pagetop