月夜に舞う桜華
「ちょ、」
「椿から離れろ!」
怒号と共にヘルメットが此方に向かって勢いよく飛んでくる。
狙いは和だと思うけれどその前にあたしがいるんですけど?!
慌ててしゃがんでヘルメット回避。その一秒後にガァンと衝撃音。
「………え」
恐る恐る振り返れば和の後頭部にヘルメット直撃。
うわぁ……痛そう、と思っていると唸り声が聞こえる。
「ってぇ………」
「椿!早くこっちこい!」
叫ぶ朔夜に、あたしは手錠に繋がれた腕を見せる。
「無理」
「あぁ!?」
「手錠どうにかして」
これ外さないと動けないです。
朔夜と会えた喜びよりとりあえず、手錠を何とかしてほしいと言う気持ちで一杯だ。
感動の再会とか柄じゃない。