月夜に舞う桜華
「――――来い」
「っ!?」
グイッと引っ張られ、あたしの体はそちらに傾く。何とか足を踏ん張って体勢を直すが、完全に和に連れられる形になってしまう。
「椿!」
ハッと朔夜があたしの名前を呼んで雷心の横を通り過ぎようとする。
「だから、通せねぇって」
しかし、雷心の邪魔に朔夜は苛立ちを露にした。
「退け」
「退いて欲しいなら、俺を倒すことだな?」
「チッ」
チラッとあたしを見た朔夜は、苛立ちを抑えることなく雷心に攻撃を仕掛けた。
雷心は、紙一重でかわすと、僅かに距離をとる。
「俺は、そう簡単にはやられないよ?」
「………」
楽しそうな雷心の声と苛立ちを露にした朔夜。二人を背中にあたしは倉庫から外へと出た。