月夜に舞う桜華
何処に向かっているかなんて分からない。和が何を考えているかも分からない。
あたしは、ただ、引き連れられてるだけ。
体の至る所が熱を帯びて痛みを発している。化膿したりとか嫌だなぁなんて緊張感の欠片もないことを思っていると、ようやく和は歩く速度を緩めた。
「っ!!」
グイッと手錠の鎖を引かれて、あたしは和の正面に投げ出される。
そのまま地面に滑り転んで痛みが生じた。確認してみると、地面との摩擦で刷りきれて血が滲んでいる。
(あぁもう……)
また、血が減る。
あたしは、げんなりしながら、怪我をさせてくれた和を睨み上げる。
「………ここなら、邪魔されないだろ」
和は、腰を折ると、私と目線を合わせるように屈んだ。